講座 −本専攻を構成する6つの多彩な講座と研究内容をご紹介します−

専攻の全体像

 複雑系科学とは,化学,物理学,生物学,経済学など,既存の独立した学問を横断的に再認識して,普遍的な知見や法則を探し出していこうという新し い学問分野です.これまでに,化学なら物質の反応,物理学なら物体の法則,経済学なら経済活動などと,それぞれ個別の現象を研究してきたので すが,これらはみな複雑なシステムが示す振る舞いとして共通性があることがわかってきました.そのため,私たちはそれらを包括的に複雑系として捉え, そこにひそむ新しい原理や法則を解明しようとしています.

Department


多自由度システム情報論講座(講 座Webページ

 自然における複雑系は、極めて多数の構成要素が相亙作用して集団として振舞う分散協調型情報システムである。このようなシステムの情報構造を理解 するためには、互いに相互作用する多数の自由度の集団としての性質を解明することが重要である。本分野では、相互作用する多粒子集団における 情報の伝達、変換、蓄積に関する教育・研究を行い、情報科学の新しい原理を情報物理学の観点から究明する。また、得られた統計力学的成果を広く自然、社 会、経済における 集団的情報現象の解析に応用する教育・研究を行う。

Tajiyudo

杉山雄 規
多体相互作用系に現れる巨視的現象の力学機構に潜む数理物理的普遍性を追求する。対象は非平衡散逸系(交通流・粉体・歩行者・生物など) であり、場の理論・可積分系・微分差分方程式・くりこみ群・シミュレーション等の方法により解析している。
谷村省吾
量子力学,物理学における幾何学的方法。
時田恵 一郎
非線形力学、統計物理学、計算物理学などの手法を用いて、生態系、細胞内の代謝系、免疫系、生体高分子、神経回路網、組合せ最適化問題, 経済システム、社会システムなどの多種類の構成要素からなる巨大システムの数理的理解と制御方法の確立を目指している。
中村泰之
相互作用する素子からなる系の集団現象に興味を持ち、計算機シミュレーションやスピン系の統計カ学の手法により、磁性体、社会現象を対象 にした研究を行う。また物理教育のためのインターネットを利用した教材開発も行う。
泉田勇輝
非平衡熱エネルギー変換における普遍則の研究及び結合振動子系における「同期のエネルギー論」の構築を軸とした非線形動力学と非平衡熱統 計力学の融合的研究を行っている。

物質情報論講座(講 座ポータルページ

 自然における情報の伝達、変換、蓄積を担う重要な物質的基盤は、分子及びその集合体の運動、反応、構造である。本分野では、複雑な分 子現象における情報の流れが機能発現へと統合・組織化される過程の解明を目指し、シミュレーション、多体理論とアルゴリズム開発、非平衡可塑ダイナミ クス理論によって情報機能物質をデザイン・創製する原理を究明し、情報過程の物質的基盤に関する教育・研究を行う。さらに、超並列計算、動力学専用計 算機の開発など、分子システムのシミュレーションに関する革新的な情報技術の教育・研究を行う。

古 賀伸明
コンピュータを用いた量子化学計算により、化学反応の様子やそれを支配する電子的因子を理論的に明らかにする。特に、分子の持つ構造的及 び電子的惰報の伝達・変換という観点から、有機化学反応、有機金属反応、触媒反応などを研究する。
長岡正隆
物理学と化学の理論的手法により自然界や人間界における非平衡非定常現象の本質を探る。その数学的な一般性や、固有の化学反応系への応用 や生物学的な特殊性を研究すると共に、コンピュータ・グラフィックスを用いて視覚的理解を深める。
張賀東
ナノオーダの隙間を介した二面間の相対運動を正確に実現することを目指して、ナノ高分子膜の複雑な流動現象を解明するシミュレー ション、運動系の特性を評価する光計測技術、安定な運動を実現するナノトライボロジーなどの研究を進めている。
井内哲
分子動力学シミュレーションや量子化学計算といった理論・計算化学の手法をもとに、特に溶液内における構造、電子状態、ダイナミクスに関 する基礎的知見を得ることを目指して研究を行っている。


北浦和夫


生命情報論講座

有機体としての生命は、それを構築する分子、細胞、組織が情報を共有し、あるいは互いに多くの情報を通信しあって制御・維持される分散 的情報システムであり、さらにそれらの関係が個体問、種間で複合的に形成される階層的情報システムである。本分野では、これら広範な生命情報の伝達、変 換、増幅、蓄積にかかわる機構・過程を、生理活性天然物質から核酸、タンパク質など多様な生体構成分子の動的変化として捉え、シミュレーション、モデ ル解析などの理論的手法と有機化学合成、分子機能解析、分子生物学などの実験手法とを融合させることにより、新たなバイオインフォマティックス分野の 教育・研究を行う。

Seimei

太田元規
構造バイオインフォマティクスの研究を行っています。具体的なテーマは、タンパク質の配列からの立体構造予測、立体構造からの機能予測、 タンパク質の相互作用解析、タンパク質のデザイン、比較ゲノム、システムバイオロジー、などです。
吉田久美
花はなぜ多彩で、その色素はどんな機能を持つのか。これらを通して、分子認識や機能発現、膜を介した物質移動とその制御などの普遍的な生 命現象の解明を目指す。有機化学を基盤に生化学、植物生理学、分子生物学、計算化学などさまざまな分野の融合により研究を展開する。
青木摂之
生物リズム(概日リズム、ウルトラディアンリズムなど、様々な周期を持つものが知られる)の仕組みとその進化について研究しています。コ ケ(ヒメツリガネゴケ)などの原始的植物や、シアノバクテリア、大腸菌、枯草菌などの原核生物を対象に、主に分子生物学的な手法で研究してい ます。研究成果を応用に役立てる事にも興味があります。
塚本眞幸
核酸関連化合物の力量ある化学合成法の開発を基に、遺伝子の情報発現制御による抗ガン性や抗ウイルス性などの有用な機能をもつ核酸を人工 創製する。
小 池亮太カ
蛋白質の構造・機能・進化に関する問題を計算機を使って解析しています。現在は蛋白質の構造変化や蛋白質複合体に関する研究をデータベー ス解析や新規の解析ツール開発を通して進めています。

創発システム論講座

多数の構成要素の動的な相互作用に基づく情報処理機能、情報処理構造、情報ダイナミクスの自律的な出現としての創発現象は、複雑系を特 徴付ける中心的な概念である。本分野では、複雑系における創発現象の理解と応用の教育・研究を目的とし、構成論的手法、即ち計算論的モデルの構築、複 雑系 シミュレーションの実行及び実世界での検証や応用に基づいて創発現象の情報機構を究明し、新たな情報処理の原理を確立するための教育・研究を行う。

Souhatsu

有田隆也
様々な複雑系における創発現象への人工生命アプローチ、ロボットや人工知能への応用を行っている。[自主設定テーマ例:ディジタル生命、 群知能、ミーム学、言語進化、人工経済、共進化計算、ゲ一ム戦略進化、感情ロボット、アー卜の自動生成]
北栄輔
進化的計算、セル・オートマトン、数値解析理論、並列計算機援用工学など応用教学、情報システム、情報科学を融合して、構造物設計、交通 (lTS)、経済など自然や杜会現象のシミュレーションに関する研究を行っている。
永峰康一郎
地球化学図による元素の濃度分布と地名の分布との関連性,衛星画像データの解析による人口分布の推定,写真撮影と同時にカメラの位置や姿勢の 情報を記録するシステム,花崗岩に含まれる微量気体の分析による岩石生成環境の推定など,主に上図の「情報過程の理解」に関する研究を行って いる。
鈴木麗璽
生物集団や社会に生じる複雑な振る舞いに関し、人工生命手法に基づくモデル化によって、その創発メカニズムの構成論的理解を目指 している。現在は、進化と学習の相互作用、協調行動の進化、進化とニッチ構築の相互作用等について研究を行っている。
笹原和俊
人工生命と情報行動学のアプローチでコミュニケーションの複雑系科学を探求している。現在の研究テーマは、コミュニケーションの創発と進 化、情報生態系としてのソーシャルウェブ、生物の行動文法で、これらを通じて新しいコミュニケーションの理論を目指している。

複雑系計算論講座

複雑系科学の基本的方法論としての新しい計算アプローチを教育・研究する。自然科学における非線形力学系や人間が行う活動、例えば生産 活動を複雑系として捉え、その数理モデルを構築し、数値シミュレーションによってモデルの検証と最適化を図ることにより、複雑系における情報の伝達、変 換、蓄積のメカニズムを明らかにする。複雑なシステムの予測・制御・設計法や高精度化・高速化解法などを開発して、新たな情報処理原理・情報処理シス テムを構築し、複雑系情報科学の計算論について教育・研究を行う。

Keisan

畔上秀幸
モデリングと最適化の数理:自然界や人工物には現象との関わりでいろいろなかたちが作り出されている。現象を偏微分方程式でモデル化し て、それらの現象を望みの現象に近づけるようにかたちを制御する研究を行っている。
渡辺崇
複雑系流体運動のダイナミクスについての数値シミュレーションと実験による解析、教値デ一夕からのデータマイニング、および、複数台のビジョ ンシステムによる人や物の流れの理解、ビジュアルコミュニケーションなど、流れの情報学に関する研究を行っている。
大岡昌博
ロボットの新しい計測制御法およびバーチャル・リアリティの実現のため、心理物理実験法や数値シミュレーションなどにより、視聴覚・触覚 など複雑なヒトの感覚情報処理機構を解明して、その数理モデルを構築する研究を進めている。
鈴木泰博
「創る」・「観る」立場からの複雑系を創出する相互作用の研究。創る〜抽象化学系・膜計算モデル、生態系や細胞のモデル化など; 観る〜生物ネットワーク(生体高分子)と社会ネットワークの比較解析と生命情報学への応用など。

情報可視化論講座(協力講座)

複雑系において非線形な振舞いを示す物理現象や動的相互作用を対象として、大規模な数値計算、高精度な測定・分析を行い、空間的・時間的に遍在する 膨大なデータから有用な情報を抽出する複雑系インフォマティックスの構築を目指す。例えば、複雑な振舞いを示す流体現象や、生態系・環境 系と人類の間の相互作用における各種の膨大なデータから、必要な情報を抽出し解明するための、可視化法、発見的及び知的処理法について教育・研究を行う。

内山知実
計算流体カ学とくに渦法や有限要素法などを用いた混相流、物質拡敵、化学反応を伴う拡散場の数値シミュレーションを行っている。 流体計測に対するウェーブレット解析やニューラルネットワークの応用に関する研究も進めている。(エ コトピア科学研究所
新美倫子
遺跡出土の動物骨や貝殼から過去の人々の食生活や狩猟・漁労等の生産活動を復元するなど、環境考古学的な研究を行っている。出土 動植物遺体のDNA惰報分析や植物質食料の資源利用モデル作製などにより、新しい切り口を目指している。(名 古屋大学博物館
安田耕二
第一原理から分子や個体の電子状態、構造、反応性を明らかにする。新しい量子化学理論の開発。1.密度行列を基礎とした、波動関教を使わ ない量子カ学、2. 繰り込み群の方法に基づいた量子化学。 (エ コトピア科学研究所