21世紀においてパラダイムを形成する複雑系科学
複雑系科学では現象をありのままながめ、あらゆる分野の現象を見直す!
エネルギー,物質が常に流出入する非平衡,開放系の実際の系全体の状態,振舞が動的に起こることを対象とする(従来科学は時空の微小要素で現象を簡単化し,全体はそれを単に重ね合わせたものとしたが,実際の振舞はこれでは予想つかない).
オプティミスティックな複雑系科学!
地球創生以来,原子,分子,無機,有機,生体高分子,細胞,生体と進む物質変化は複雑さが増すにつれて段階的,自律的に秩序形成(形態形成)が成されてきたといえる.系は多数の相互作用によって結合されたネットワークからなり,系を通り抜けるエネルギー,物質,情報の流れがある限界値を越えたとき,非線形相互作用(フィードバック,ON-OFFなど)により新しいタイプの構造,組織が自然発生的に出現(創発)する結果が自己秩序化である.結局,複雑系の代表である生命の本質は素材でなく,組織のあり方にある.高等生物を特徴付ける生物情報処理システムは40億年以上かけてアルゴリズムを自動獲得(有用なネットワークが生き残る)した結果である.脳科学分野では獲得したアルゴリズムの理解,心の理解への発展,脳型コンピュータへの工学発展が進行している(従来科学は複雑さが増すにしたがい,エントロピーが増大し,やがて宇宙は熱的死にいたるとペシミスティックな予言をする).→[専攻の全体像]へ
跳ぼう(好奇心あり,やる気のある諸君に期待する)
複雑系科学はあらゆる分野の未踏な対象を扱い,研究者に夢を与える!
これまで扱われてきた分野として下記が挙げられる.
神経学(脳,神経,軸索),生物学(生物,生物細胞,生物集団),化学,物理学(流体力学,気象学,地質学,量子物理学),工学(機械・航空宇宙学,電気・電子,固体物理),社会科学(経済,社会,人類考古学). →[各講座の紹介]へ
以下のように研究手法も多様.
(1)自然界で自動獲得されてきた仕組み,アルゴリズムを分析する.
(2)自然界のアルゴリズムをモデル化し,コンピュータシミュレーションする.
(3)分析された仕組みを工学,経済,社会学応用などに発展させる.
したがって,当専攻は大学の出身学部を問いません. →[入学者の傾向]へ
複雑系科学出身者はあらゆる分野から求められる人材
以上のように複雑系科学は物事に自然体で臨むことができ,複雑系科学出身者はシステム開発に発想の転換が求められる部署に今後益々求められる人材です.これまでも,各種研究機関および産業界に進んでいます.代表的な就職先として,トヨタ自動車,デンソー,三菱重工,中部電力,ソフト開発のソリューション会社などが挙げられます.→[卒業後の進路]へ